「ゲーミフィケーション」という言葉を聞いたことはありますか?
あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、ゲーミフィケーションとは、例えばレベルアップや報酬獲得など、ゲームに使われている要素をゲームとは別の分野で応用することを指します。
このゲーミフィケーションはビジネスや教育、医療・介護といったさまざまな分野で活用され始めており、日本でも2011年ごろから注目されています。
今回は、このゲーミフィケーションについて詳しく説明していきます。
目次
ゲーミフィケーションについて
ゲーミフィケーションは、現在まで統一された定義がないようなのですが、一般的には「ゲーム要素(ゲームメカニクス、体験デザイン)を用いてユーザーのモチベーションを促進させること」と解釈されることが多いそうです。
ゲーム要素は、ストーリーやレベルアップ、ミッションの設定、報酬獲得、ライバルとの競争などさまざまで、この要素をビジネスや教育などゲーム以外の分野に応用することで、人に行動を起こしやすくさせるとされています。
また、こうしたゲーミフィケーションを活用して社会課題の解決を支援する一般社団法人日本ゲーミフィケーション協会(東京都港区・岸本好弘代表)では、ゲーミフィケーションにおける必要な要素として以下の六つを挙げています。
ゲーミフィケーション6要素
1.能動的な参加
ゲームは自分がやりたいときに始められ、やめたいときにやめられる。初級、中級、上級といった難易度が選択できるものも多い。 自分が最も楽しめるモードで取り組めるということが人間の活動には大きな意昧を持つ。また、ストーリーや世界観、キャラクターなどの魅力によリプレイヤーをゲームの世界に引き込むことで期待と興奮を設計し、継続的な参加を促す。
2.称賛を演出
ゲームではステージをクリアすると「GREAT」という表示とともに効果音が鳴ったリ花火が上がったリする。
自分の成功がきちんと認められるということがやる気を生み出す。
3.即時のフィードバック設計
ボタンを押すと主人公がジャンプするなど、ゲームでは操作に対する反応が画面からすぐに返ってくる。
こうしたフィー ドバックが快感と安心をプレイヤーにもたらす。
4 .独自性の歓迎
主人公に自分好みの装備を施すことは分かりやすい自己表現であリ独自性だが、その他にも、友達の気づかない攻略法を見つけ出したり、試行錯誤の末に自分なりの工夫をし目標をクリアすることもゲームの大きな魅力である。
厳然たるルールが存在するがゆえの快感、満足感だ。
5.成長の可視化
ゲームでは頑張った分だけレベルが上がり、自分の分身である主人公の見た目が変わるなどして成長が確かめられる。
6.達成可能な目標設定
RPG(ロールプレイングゲーム)では、最初に出現する敵は翁い。
主人公の成長に合わせて敵も強くなっていくが、工夫と頑張りで必ず倒せるよう設定されている。頑張れば破れる壁であることが重要だ。
一般社団法人日本ゲーミフィケーション協会「ゲーミフィケーション6要素」
ゲーミフィケーションの事例
次に、ゲーミフィケーションを活用した事例をいくつか紹介していきます。
コードアドベンチャー

コードアドベンチャーは、子どもにもなじみ深いゲーム「Minecraft」を使用し、YouTubeの人気ジャンルである実況チャンネル「ゴラクバ!」のいぬたぬき氏を起用したことで、YouTuberを見ている感覚でプログラミングを学ぶことができる小学生向けプログラミングスクールです。
同教室では、前述の「ゲーミフィケーション6要素」を生かした「チェックシート」を実際に現場で使っています。

実際に現場で使っている「チェックシート」
生徒たちは授業で毎回これを使うのですが、まずは動画を見ずに進めるか、動画を見るかを選んでもらうところから授業を始め、「かだいをクリアした!」「できたあとすぐに先生をよんだ!」「動画を見て答えあわせをした!」「キレイなコードを組んだ!」という四つの項目をチェックします。
このチェックシートが進行表も兼ねていて、今の状況を可視把握できるだけでなく、課題を一つクリアするごとに4回褒めてもらう機会があります。
こうした、褒める機会をたくさん設けることによって、生徒が伸びていくという仕組になってます。
歩数計アプリ「パ・リーグウォーク」

アプリ「パ・リーグウォーク」
「パ・リーグウォーク」は2016年3月にスタートしたプロスポーツリーグによるゲーム型健康増進プロジェクトで、日々の歩数で球団を応援できるというゲーミフィケーションを活用した独自の歩数計アプリです。
プロ野球のパ・リーグ6球団いずれかをファン球団として登録し、同球団の試合中に、その日の歩数を応援ポイントとして投入することができます。そのポイントの合計で各試合の勝敗を決定し、プロ野球シーズンと同じ試合数ペナントレース形式で対戦します。
利用者の1日の歩数が1万歩を超えると、応援する球団の選手のデジタル画像を入手できます。
ハピネスクエスト

携帯・スマートフォンで自動販売機と友達になれる「ハピネスクエスト」
「ハピネスクエスト」は、日本コカ・コーラ株式会社が2011年12月~2016年11月の間実施した、携帯・スマートフォンを通じて、全国各地のコカ・コーラ自動販売機に、名前を付けたり自動販売機からメールが届くなど、自動販売機と友達のようにコミュニケーションが楽しめるウェブコンテンツで、開始当時は画期的なゲーミフィケーションの事例として注目されました。
同コンテンツは、全国のコカ・コーラ自動販売機に個別の名前が付けられており、一台一台が個性を持ったキャラクターとして登場します。利用者は自動販売機に貼付されるプレート内のQRコードや検索から、モバイルサイトにログインし、自動販売機をお気に入りとして登録することができます。お気に入りに登録した自動販売機の中の1台は、「マイ自販機」として好きな名前を付けることができ、ウェブ上で手に入れられるアイテムを使って、キャラクターをカスタマイズすることができます。また、マイ自販機からはメールが送られてくるなど、利用者はお気に入りの自動販売機と友達としてコミュニケーションを取ることができます。
まとめ
今回はゲーミフィケーションの要素についてや、具体事例を紹介しました。
ゲーミフィケーションはビジネスや教育分野など、業界問わずさまざまな領域で活用されています。この分野はこれからも拡大が続くことが予想されるので、今後もますます注目を集めることになるでしょう。
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