何かしらの理由で不登校になってしまった中学生や高校生は、進路について大きく迷うことがあると思います。
外部の支援機関には「通信制高校」や「サポート校」、「フリースクール」がありますが、通信制高校を調べてみると、フリースクールやサポート校などの単語と一緒に出てくることが多く、フリースクールは通信制高校の別名だと勘違いする人や、通信制高校と通信制サポート校は名前が似ているので混乱してしまう人も多いかもしれません。
ただ、通信制高校とサポート校、フリースクールはそれぞれ中身も制度上の位置付けもまったく異なります。そこで今回はそれぞれの違いを解説していきます。
通信制高校について
通信制高校とは、高校の教育課程の一つである「通信制課程」が置かれている高等学校で、通学スタイルや学習の進め方、卒業要件などが全日制高校とは異なります。
学校教育法に定められている学校で、卒業すれば高校卒業の学歴になります。中学から直接進学する人や高校を中退した人、スポーツや芸能活動をしている人など、さまざまな人を受け入れています。
通信制高校には、主に公立高校に併設されている「狭域通信制高校」と、学校法人や株式会社などが設立する「広域通信制高校」の二つの形態があります。
サポート校について
通信制サポート校は、通信制高校の卒業に向けたサポートを行っているところで、例えるとすれば｢塾｣や｢予備校｣に近いと言えます。単位取得に向けた学習計画の作成はもちろん、一人では進めにくいレポート作成や提出のフォロー、大学進学に向けた受験対策を行っているところもあります。
また、基本的にサポート校は通信制高校と提携しているため、サポート校入学の際には通信制高校への同時入学が必要です。
フリースクールについて
フリースクールは法律や制度などによって定められた学校でないので定義もさまざまですが、一言でいうと、「不登校の子どもたちの居場所」という役割を果たす支援施設です。それぞれの施設の運営は個人や民間の企業、NPO法人によって担われおり、さまざまな規模や形態のフリースクールがあります。
また、授業内容は学校教科の学習ばかりではなく、他者との交流を行いながら自分の好きなことを自由に学ぶことができる場所であることが多いです。
また、フリースクールに通う子は、みんな何かしらの悩みやづまずいた経験を持っていることが多いので、自分と同じ価値観を持った友だちに出会えたり、コミュニケーションの練習をしたりすることもできます。
一方、フリースクールと似ていますが、各市町村の教育委員会が、長期欠席をしている不登校の小中学生を対象に、学籍のある学校とは別に、市町村の公的な施設のどこかに部屋を用意し、そこで学習の援助をしながら本籍校に復帰できることを目標に運営する「適応指導教室」という場もあります。
なお、本サイト「子どもいばしょナビ」を運営する「安城のフリースクールきのこ」も、個別指導塾教室長経験者やキャリアコンサルタント資格保持者が運営する施設で、学習指導や進路指導にも力を入れています。
高卒資格が取れるのは？
通信制高校、サポート校、フリースクールのうち、正式な学校は通信制高校のみです。ですので、通信制高校を卒業すると高卒資格を取得することができます。サポート校は「通信制高校の学習サポート」、フリースクールは「不登校生に居場所の提供」という役割を担っているものの、学校ではないので高卒資格を取ることはできません。
サポート校の場合は通信制高校への同時入学が必要となることが多く、高卒資格は提携する通信制高校が認定します。ただその分、通信制高校とサポート校の学費が両方かかってしまいます。
また、高校卒業の学歴を得るには、高校に3年間在籍しなくてはいけません。この「在籍」に関して、学校によってはフリースクールに通うことが在籍している学校の出席として扱われることもありまが、高等学校の場合はフリースクールが民間運営ということで、フリースクールへの通学を高等学校での出席扱いにはしないケースがほとんどです。
一方、「高卒資格」とよく似た名前の「高卒認定」がありますが、これは高校卒業程度認定試験（通称「高認」）のことで、高校卒業程度の学力があることを認めるという試験です。実際に高校を卒業していなくても、試験を受けて合格すれば大学や短大、専門学校の受験資格は得られるのですが、この高卒認定はあくまで「高校卒業程度の学力がある」ということを証明するための試験であり、高校を卒業したことにはなりません。そのため、高卒資格者が履歴書に「高卒」と書けるのに対し、高認に合格しただけでは次の学校に行かないと学歴は「中卒」になります。
サポート校やフリースクールでは、この高認試験合格に向けたカリキュラムを設けていたりサポートしてくれる環境があったりします。
まとめ
通信制高校とサポート校、フリースクールのそれぞれの概要や高卒資格について触れましたが、この三つは似ているようでそれぞれ違った役割があります。
- 単純に高校卒業の資格が欲しい場合は「通信制高校」
- 通信制高校での勉強や生活のサポートも必要な場合は「サポート校」
- 自分の居場所や勉強の遅れを取り戻す環境が必要な場合は「フリースクール」
三つのうちのどれを選べば良いのか迷ったときは参考にしてみてください。
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